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今から数十年後の未来社会… 高速ネット回線の全世界的整備やホログラフィックスの発明、発展に伴い、 複雑に多様・分類化した情報社会となった世界。その煽りを一番食らったのがTV業界であった。 趣味の個人分化が進み、もはや報道以外の娯楽的要素を求める者は少なく、かつて娯楽要素の 筆頭であったバラエティ番組は衰退化しつつあった。 それでも、バラエティの復権を願う製作者サイドはあきらめず、結果、過激な方法で視聴率を取る 方法に行きついた。特に過激だったのが「暴走バラエティ」という番組である。 落ち目のタレントを起用し、その身体をかけるような過激な挑戦を… 「ギネスに挑戦」 という企画でやらせたのだった。 確かに、この時代にしてはなかなかの視聴率は取れたのだが、 無謀な挑戦により出演者が死亡。…結局、打ち切りになってしまった。 番組打ち切りの半年ほど前…。 西村シノ…22歳、落ち目のアイドルにある企画が持ちこまれた。 あの悪名高き「暴バラ」からである。 社長「おい、シノ…「暴バラ」から出演依頼だ。」 シノ「え…あの番組からですか。いったい、どういう内容なんです?」 社長「その…妊娠してみないかってことなんだが。」 シノ「ええっ!!そんな事…私。」 社長「まあまあ、お前も知ってるだろ?「※妊婦タレント」が儲かるのは。」 「この少子化のご時世、妊婦は男女どちらからも人気が取れるんだ。」 「お前と同じ歳の「江頭ユウ」ちゃんなんて16歳の妊婦でデビューしてるんだよ?」 「毎年孕んで…今や、妊婦系のトップアイドルでしょうが?」 「人気者になりたかったらやるしかねえな。」 …という、甘言に乗せられて、私、西村シノは人工授精で妊娠しました。 しかし、それはただの妊娠では無く、あの「ギネスに挑戦」という企画で、 10つ子を孕むという、恐ろしいものだったのです。日々大きくなっていくお腹に 私は恐怖しましたが、番組の密着レポートが続き、やめたい事を言い出せなかったのです。 そして妊娠6ヶ月目に入り、私のお腹はパンパンに膨れ、普通の妊婦さんの臨月以上の 大きさになって、時期的にも法律で堕胎が出来なくなってしまった頃でした。 私の企画が放送されぬまま「暴走バラエティ」が番組内で死亡事故を起こし、 その責任を取る形で…打ち切りになったのです。
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そして今や、私は改造系アイドルとして活動するしかなくなりました。 多様化したタレントジャンルの一つで、アイドルの女の子が顔に似つかない過激な 身体改造(タトゥ、ボディーピアス、インプラント等)や多胎妊娠をするという ギャップを楽しむハードコアでマニアックなアイドルです。 今度、多胎妊婦写真集がでます。その為にボディーピアスも施しました。 これで、もう以前のような清純派アイドルには戻れません。 …出産が終わったら身体にタトゥをいれたり、インプラントを埋め込んで、 本格的に改造系アイドルに転身する予定です。事務所もそれしか無いと言っています。 それでもいいんです。…10人の子をお腹に抱えたまま、芸能界を引退して、 人知れず出産するよりは、はるかにマシですから。 了 ※妊婦タレント: 21世紀前半に登場した妊娠した身体をメディアで売り物とするタレント。 女性からは妊婦の可愛さを、男性からは母性等を求められ、ジャンルを確立した。 代表的なタレントは「江頭ユウ」22歳で6人目を妊娠中。 こういった事の背景には少子化により、妊娠自体が社会的に良い事だとされている世相、 さらに、医学の進歩による妊娠、出産の容易化があると見られる。 |